みんなたちは、こんな経験あるだろうか。
私は今でも悔やまれてなりません。。
朝の 8時です。その日の私は、寝ぼけ眼で電車に揺られていました。
なにやら突然、電車が東京駅あたりで止まってしまいました。何本か前の列車が緊急停止信号によって止まってしまったので間隔調整をするのだそうです。最近やたらと決まり文句のように耳にする緊急停止信号の影響によりーーってアナウンス、やだなぁ〜〜。怖いなぁ〜〜。普通に停止してくれや〜〜。
私の使う線がまさに緊急に停止している最中、ホームを挟んだ向かいの山手線は通常通りに運行していて、人という人がこちらの車両からあちらへ流れ降りてゆきました。
慌ただしい朝の満員電車はあっという間にがらがらです。私は、席に余裕が出来たことを死んだ魚のような目で確認し、スッと座席の中央のあたりに座りました。ハァ寝れる。いや、もう寝ている。おまえはすでに寝ている。そう、私は寝ている。もはや、この意識は夢か現か判断が難しいところです。とにかく寝不足で、めちゃめちゃボケーっとしていました。
開いてるのか閉じているのか分からない 目で、周囲の様子をうかがったときでした。私の目は覚醒しました。
事件はしょぼしょぼの眼球で起きてるんじゃない、現場で起きていたのです。
私から見て、右手です。床にえっと、アレが、落ちていました。二枚も。あ、生の理がきたときに用いられる品です。二枚もです。多い日用のではなく、少ない日用のスリムタイプのやつがね。ぱら、ぱら、って感じで落ちているわけです。いつの間にか!それも二枚です。はい。
えええーーーーーーーー!!!??!
ってなりますよね。
驚いちゃいますよね?誰だよ!誰なんだよ!って。大丈夫かよ?!って。
一瞬見間違いかと思った。白いハンカチじゃないかなって。ぜんぜん違った。とんでもない落し物だった。どうして、そんな無防備な状態で落としちゃったの。
そんなことはないとおもいますが、手に持っていたら人の波にのまれて思わず落としてしまったのでしょうか。いや、きっとバックに入れていたと思います。でもおそらく直にですよね。ポーチやちょっとした袋にしまってたものとは考えにくいです。
ハァ。困りました。
見てよ ないてる。拾ってほしそうにしてるもの。
あまりにも悲しい光景でした。
これは、いつかのタイミングでそっと回収してあげたい。
もういちど周りを見渡すと、この車両が品川駅まで女性専用車両だったこともあってか、幸いにも私の座る座席と、目の前の座席に男性は座っていませんでした。
その時なら拾うことができました。
しかし、別の可能性も考えねばなりませんでした。
この持ち主は今この車両に乗っているかも知れません。周りが皆女性といえど恥ずかしさから知らんぷりをしているのかも知れません。
持ち主が拾うか拾わざるか究極の選択をしてるところに私が善意からそっと拾ったとしましょう。きっと持ち主は「…………。(あ、相棒…!恥ずかしがってる間に相棒が!今更私のなんです!なんて言うのもちょっと…ウッ…サヨナラ……)」という具合になりましょう。
そして、私の二つ隣の席にパンツルックのきれいなオフィスレディさんが座っていらっしゃるけど、もしやソレの相棒は貴方なの??と思いました。
ソレから一番近い距離に座っていらっしゃるのがそのオフィスレディで、持ち主の候補としては有力でした。
何を隠そうソレはそのオフィスレディさんの足の真横に落ちているのです。なんなら、左足にちょっとかかってるというか、もうちょっとでソレがride onしそう。
いや、そこに落ちてるソレ、気にならないの?どうするの?蹴る?拾う?それにしてもめっちゃ涼しい顔してる。
見えないのかな?
え、もしかして、みんな見えていない?
もしかしたら、私にしか見えない精霊てきなやつなの?えーーーーーーーー
すごくない!??でも全然嬉しくないんだけどーーーー。
私がこうしてモヤモヤしている間にも電車は次々と駅に着いては、人を降ろし、乗せてゆきます。男性客が来るのは時間の問題でした。
気づけば先ほどのオフィスレディはソレを残して降りていました。
私は、「ああ、持ち主じゃなかったのかなぁ。」などと思っていたら、別のオフィスレディBが来て、先ほどのレディAが座っていた席に座りました。しかも、悲しげに落ちているソレをスッと避けて。
見えてるーーーーー!!
精霊はみんなにも見えてるーーーーー!!!!
いや、精霊ではないことが実証されました。また一つ私の仮説は打ち砕かれました。
そのレディBは一駅ですぐ降りました。
そして気づけば今度は、車両に乗る人は私を除いて皆男性になっているではありませんか。オイーーーーーーーーーー。
なんなの。みんな普通に座る。こんなに真剣にソレと向き合ってるのは私だけなの?なんかばかみたいだ。
ウエノー、ウエノーデス。
目的の駅に着いてしまいました。
なんとしても拾ってあげたかった。
でも、ここで拾ったら、完全に私のソレだと思われてしまう。恐れとプライドを捨てきなかった。
私も、レディたちのようにソレをスッと避けて電車を降りるのでした。